最近思うんですけど、企業(広告主)が言う、「(ソーシャルメディアを使って)生活者とコミュニケーションが取りたい」って、つまるところ、「自分たちの言いたいことを(一方向的に)言いたい」ってことなんですよね。手間ひまかけて、双方向の会話をしたいってことじゃない。
最近は「twitterマーケティング導入のススメ」的セミナーが花盛りだし、WBSの放送以後、よりtwitterバブルの予兆が出てきてる気がしますが、結局は流行の「インタラクティブコミュニケーションツール」を使って、いかにターゲットへ「一方向的な」メッセージを効率的に流すか、ということになってるんじゃないかと思う。
電話を使って話したいときに話したいことを話したいだけ話して、相手が話し返してきたら「おっ!話し返してきやがった!面倒くせえ!」って思ったり、「いや、あなたは聞いているだけでいいんですよ。僕が話すからね、それをおとなしく聞いているように」とか、話したいこと(キャンペーン)が終わったら一方的に電話切っちゃったりとか(ブログとかtwitter閉じちゃったり)みたいな。それってどうなんでしょうか。
「インタラクティブコミュニケーションツール」なんて言うから何となくかっこいい次世代ツールみたいな気がしますけど、日本語に訳せば「双方向やりとり道具」ですからね。会話の道具ですよ。会話の道具使って会話はしてない(したくない)。結局、毛細血管的拡声器としての位置づけなんです。
このまま行ったら、twitterの寿命は半年から1年くらいなんじゃないかな。「twitterは面倒くさい」とか「フォロー数が伸びず、思ったよりリーチが稼げない」とか「ぜんぜんサイトに来てくれない」とか「売上や資料請求につながっているとは思えない(費用対効果悪い)」とかって理由で。
そもそも、企業が「twitter使ってプロモーションするぞ!」って言ったって、リーチできる数(フォロワー数は)数千から多くて数万ですよ。多くの場合は1万いかないですよね。小規模でこだわりの商品を売る商店とか中小企業とかならいいかもしれませんが、数十億とか数百億売らなきゃいけないマス商品のプロモーションでtwitter使ったって「期待する成果」なんて出るわけない(期待が大きすぎるんですけど)。マス商材は「リーチ」が最重要事項なんだから。
話を戻すと、twitterでもBlogでもSNSでもコミュニティでも、結局は「向こう側にいる人たちとどう向き合うか(お付き合いしていくか)」って本質的な議論や覚悟なしにインタラクティブコミュニケーションツールの使い方とか事例の話したって意味ない気がするんですよ。twitterならリーチじゃなくてフリークエンシーなり関係性なりを志向しなきゃそもそも期待することが大きいというかずれてるというか。関係性をつくるなら、双方向じゃなきゃ意味ないし。
「ソーシャルナントカ」と言われる大半の活動が途中でスタックするのって、結局そこなんじゃないのかな。ツールはあくまでツール。ツールが「よしっ。僕に任せておいて!」とか言いながらおもむろに立ち上がって他力本願的に劇的な成果を上げてくれるわけじゃなく、劇的な成果はツールを使う人や組織の覚悟とツールの使い方(目的と目標設定の仕方)次第なのですよ、と思うわけなのです。
ということで、最後にようやく「ソーシャルメディアマーケティングを始める前に自問すべき6つのこと」について。ソーシャルマーケティングは、いったん始めたらしばらくやり続けなければなりません。始めることは簡単ですが、続けることは大変です。取り組む前に、下記6項目について自問してみてください。
(1)相手と会話(対話)をするつもりがあるか?
前述した通りです。会話を通して、ブランドと相手との距離を縮めていくつもりはありますか? それとも、こちらが出したいことを一方向的・効率的に発信していきたいだけ? 後者だと、そもそもソーシャルメディアの特性や強みと目標設定からしてややずれているので、再度冷静に考え直しましょう。
(2)ソーシャルに土地勘のある専任のスタッフ(もしくは組織)を配置(設置)できるか?
ソーシャルメディアは、場所や相手によって振る舞い方が違います。土地勘のない人なら最低1ヶ月~2ヶ月は、どっぷりとソーシャルメディアに浸かってから始める。できる限り、ソーシャルの鬼のようなスタッフを選任すべき。そして、兼任じゃなく、専任にすべし。兼任の場合、社内の諸事情によって結局継続されない可能性大。
(3)会社として取り組むコンセンサスとコミットメント(上位役職者の承認)は取れているか?
できれば役員レベルの承認やコミットメントを取り付けましょう。また、やり始めると、絶対に、「広報のチェックはどうなっているんだ!?」とか、「コンプラ(法令遵守)の観点からこの発言はいいのか?」とか出てきます。宣伝部や事業部だけでなく、広報部や法務部とのコンセンサスもとっておきましょう。
(4)目的は短期的なプロモーションではなく、中長期的な関係性づくりになっているか?
これも前述した通りです。この新商品のプロモーションで話題のtwitter使おう!劇的に認知度が上がるかも!?とか間違っても考えてはいけません。ソーシャルメディアマーケティングの本質でも書きましたが、流行に惑わされず、ソーシャルメディアマーケティングの取り組み全体の中でポートフォリオを組み立てて、目的や目標ごとに手法を使い分けるようにしましょう。ソーシャルメディアマーケティングはConversation Marketingです。「プロモーションの場」よりも、どちらかというと「関係性強化やブランディングを進める場」に向いています。
(5)数値による目標設定ができているか?目標の妥当性評価はできているか?
結構、目的と目標があいまいなまま始めるケースが多いと思います。目的は何ですか? 目標は明確になってますか? 目標は予実分析ができるよう、必ず数値で立てましょう(もちろんいくつかのパラメーターで)。そして、それを必ず第三者に検証してもらってください(設定の仕方や数値設定が実現可能なものになっているかどうか)。えてして、最初から実現不能な目標が設定されているケースも多いと思います。
(6)やり始めたら1年以上続ける覚悟があるか?
手軽そうだし、なんとなく始めてみようかな・・・とか思ってませんか? ソーシャルメディアマーケティングは関係性をつくる場ですから、2~3ヶ月で「やっぱや~めた!」なんて心象悪すぎです。あと、短期的なプロモーションでtwitterアカウント取りまくるのとか、プロモーションブログとかも再考しましょう。話したい(言いたい)ときだけ、「よし、お前ら、ここに来て俺の話を聞け」って言って、用が終わったら、「じゃ、さよならー」って一方的にどっか行っちゃう。それって、良い人間関係をつくろうと思う人のやることじゃありません(笑)
人間と人間が会話をすれば、トラブルも起きるでしょう。あんまり盛り上がらなくて打ちひしがれることもあるかもしれません。でも、悲しくったって苦しくったって、一年以上続けるのです。続けることから、見えてくるものが必ずあります。逆に、そこまで行かないとわからないことの方が多いかもしれません。
何があっても続ける。本当に、その覚悟、ありますか?
以上、6項目です(いま思いつく限りは)。
「めんどくさそーだなー」という声が聞こえてきそうですが、そういうことなのです。「もっと簡単にいい感じの結果が出ると思ってたのにーくそー」という方は、いまはやめておきましょう。うまくいかないことを保証してあげます(笑)。
あと、「上司にやれって言われたから」という方、このブログをプリントアウトして、僕のせいにしてください。「コイツがこんなこと言ってますけど、うちの会社ではどうですかね?時期尚早ですかね?」とか。
ということで、次回(時期未定)に続く(かも、笑)。






































同感でぃす
投稿情報: ごう | 2009.08.28 16:27
"CSR"の流行しかり、ソーシャルに対する「コミットメント=参画」が漏れてるケースが増えそうですね。w
投稿情報: 課長007 | 2009.08.28 20:41
>ごうさん
あざーっす!
>課長007さん
お久しぶりです。ホント、Remember Second Life!!ですよ。
投稿情報: イケダノリユキ | 2009.08.28 21:20
あら、ごう(←昨日飲んだG社の方)さんも課長007さんもこんなところに…
さておき池田さん、何珍しくマジメなこと書いているんですか(笑)いつもうんちっちーなのに。
いつもマジメな僕がリアクション。弊社の例で。
1)相手と会話(対話)をするつもりがあるか?
弊社は個々人レベルでは、この覚悟を持っている人は多いと思います。まがりなりにも「教育」が好きな人たちですからね。
しかし、会社の「仕切り」(管理)や「仕組み」(構造)として、これがなしえているかは微妙。
世の中の平均との相対比較では、できている方だと思いますが、まだまだですね。
(2)ソーシャルに土地勘のある専任のスタッフ(もしくは組織)を配置(設置)できるか?
企業としてはこの覚悟、まだないですね。(そもそもWebにもそんなに人を割かないし。苦笑)
結果的に僕のような土地勘のある(←自分で言うな)人間がソーシャルを担当させていただいている、という、なんていうかな、温かさはありますけど。
ただこれも「仕組み」が整っていないから、ソーシャル性をもっと発揮すべきWeb関係の仕掛けが中途半端に終わっている例も。
(3)会社として取り組むコンセンサスとコミットメント(上位役職者の承認)は取れているか?
これはとっていますね、しっかりと。
(4)目的は短期的なプロモーションではなく、中長期的な関係性づくりになっているか?
これもわかっている人が多いですし、仕組みも割ともっていると感じています。
(5)数値による目標設定ができているか?目標の妥当性評価はできているか?
これは(企業として)弱い、正直。
(6)やり始めたら1年以上続ける覚悟があるか?
担当者次第(苦笑)
1~6までを全部達成できている企業って皆無じゃないでしょうかね。
しかし大事なことであるという池田さんの主張もよく理解できます!
投稿情報: Z会 寺西 | 2009.08.28 22:58
企業って的を見ずに、ツールで決めるんですよね。
ツールはダーツだったり矢だったり、弾丸やロケット、レーザーなんてのもあって、物理的で材質や量でコストがすぐわかるし。
でも、本当に大切なのは的の大きさや材質、厚さだったり。
それがきちんとわかってれば、使うべきツールはすぐにイメージできる。
打ち抜くのか、ぶち抜くのか、こなごなにするのか。それとも当てるだけ?
規模もすべて、的が知っている。
じゃぁ、的ってなに?的をどうするの?ってことを解析しなきゃ、と思ってます。
投稿情報: みーP | 2009.08.29 00:28
この条件ってメールマーケティングの場合も当てはまるものが多いと思います。
メルマガもBlogもTwitterもけっきょくツールでしかなくて、いかに顧客との河合に真面目に取り組むか?ってことなんだろうなと思いました。
投稿情報: かみたに | 2009.08.30 02:04
前職や弊社(親会社)の場合で考えると、いろいろ見えてきます。
まず、兼任ではなく専任でという件。これはもう、ホントにそう。そしてWebが大好きなヤツを担当者にしないとムリっ!と思いますね。そして、社内で人気のあるヤツがこの役をやるのがもっともスムーズ。
ハードル、高っ!ってことになるかもしれませんが、結局のところ、企業の覚悟はそういうところなんでしょうね。
あと、本当に伝えたいことや理解してもらいたいことが、いつの間にか「To Do」化されていて、面白くなくなっていること。コンセプトが欠落して、~しなくてはならないという解釈に変わっている点がキツイ。
情報発信のお仕着せで踊ってもらえるほど消費者は阿呆じゃないってことを理解できなくては、顧客とのリレーション云々は言っちゃダメなんですよね。
投稿情報: onisato | 2009.08.31 11:33
>寺西さん
Z会さんは、寺西さんの尽力もあってソーシャルマーケティング体質が相当高い企業ですからね。それでもまだまだ不十分感があるってんですから、世の企業はやること盛りだくさんってことですねえ。
>かみたにさん
確かにそうですね。one to oneなりpermissionなりrelationshipなりCRMなりの流れは取り組み自体はすぐできますが、その根底に流れるポリシーみたいなところに差が出てくると思います。Database marketingはシステムがやれますが、Social Marketingは人しかできないと思います。
>Onisatoさん(改名されたんですか?笑)
まさにその通りっ!今度時間があるときに「ソーシャルマーケティングに取り組む企業のよくある落とし穴」的なエントリーにまとめてみます。
投稿情報: イケダノリユキ | 2009.09.01 15:16
結局、「ソーシャルメディアを使って広告宣伝販促効果があった」と、「昔の人の言語体系」の中で示さないと、「いやいやソーシャルは、宣伝と販促をつなぐ“興味醸成”“関心深耕”領域ですから、効果測定しにくいんですよ…」といったところで通用しないのがオチ。
だから成功させたいわけです、例の企画(笑)
ソーシャルメディアが「Web企業発」ではなく「広告主発」で「本気」になれば成功するってことで。
投稿情報: Z会 寺西 | 2009.09.02 12:58
ほんとにおっしゃるとおり。短命スパイラルに乗らないように、きちんとわきまえた広告主さんと一緒に頑張りたい次第ですね。対話せずに言いたいだけなら、旧型の手法でお願いします。。
投稿情報: アドバタ会議 | 2009.09.07 17:01
本日はBCでの研修会、ありがとうございました!参加社員の一人です。とても勉強になりましたし、感動すら覚えました。仕事に生かします!ブログの内容もまさに研修会と一緒で、勉強になります。
投稿情報: 吉田英世 | 2009.10.08 20:24
>吉田さん
わざわざコメントありがとうございます。早速訪れてくださって嬉しいです!今日は時間押しちゃってすみませんでした。次回はもっと現場で現実的なディスカッションとかやりたいですね。
投稿情報: イケダノリユキ | 2009.10.09 02:16