東京風景に引き続き、社会学者:鈴木健介氏から紹介された本の読了報告。
●阿部真大著「搾取される若者たち-バイク便ライダーは見た!」集英社新書
毎日のようにお会いするバイク便ライダーの方々(やその属する職場や社会)が、社会学を考察する上での"るつぼ"であることなんて知るよしもなかった。
なるほど、世は深い・・・。
1時間で読めてしまうほど軽快な論調で書かれた本書の中で刺さったところを引用しますと・・・(本書を読んだ後の文脈じゃないとわからないかもしれませんが)。
こんな人生を送ってきた団塊ジュニアに、好戦的になるなと言うほうが間違っている。未来もないのに競争、競争、また競争。でも生きていくためにはやるしかない。それが団塊ジュニアである。
(中略)
でも、その好戦的な性格が、自分たちの世代の中だけで完結しているところが団塊ジュニアの弱いところ。僕たちは、基本的に親のことが大好きなんです。競争に疲れたら家にひきこもってしまうんです。家にはものわかりのいい「リベラルな団塊世代」の両親が待っているから。だから、上の世代に反抗するなんて考えられません。だって、彼らの言っていることは正しいだろうから。
リベラルな「ニューファミリー」は、団塊世代の目指した家族の姿だ。子どもも一人の人間として扱う。親は権威を振りかざさない。子どもたちが小さい間は美しい家庭だった。しかし、権威を知らない団塊ジュニアが育ってしまった。素直な世代、年上を疑わない世代の誕生。
好戦的な性格と、素直な性格。この二つが組み合わさると、最悪の自己実現系ワーカホリックが生み出される。彼らはいともたやすく職場のトリックにひっかかってしまう。素直だからトリックがあることに気づかない。好戦的だからトリックにかかった後でもがんばってしまう。経営者にとっては使いやすい労働力。まさにバイク便ライダーの姿そのもの。バイク便ライダーの物語は団塊ジュニアの物語でもある。
うーん、深い。本当に深い。
本書は、東京大学大学院博士課程の著者が、休学中に実体験したバイク便ライダーの世界を生々しく(社会学の観点から)綴ったルポタージュです(しかも【かなり】楽しみながら読める)。
机上の研究からは決して伝わってはこないリアリティがそこにある(社会学で言う「参与観察法」を用いているからかもしれないけど)。
※参与観察(Participant Observation):観察者が被観察者と々社会生活に参与して内側からその実態や実情をつぶさに体験しながら監察する方法(社会学辞典/弘文堂/似田貝香門)
ソーシャルインサイトなり、コンシューマーインサイトなり、トレンドなり、ブームなり、様々な社会的考察は、多分に多面的要素を持っています。
そんな中で、こういった参与観察的アプローチや、社会学的考察っていうのは、本当にためになります。
えてして、アカデミアの世界は、「実社会では役に立たないよね」なんて揶揄されることが多いような気がしますが、個人的には(全てが)そうとは思いません。
もともと、マーケティングは仮説の学問ですから、成功事例(と失敗事例)の積み上げが学問としての説得性や論理性を担保しているに過ぎず、数学や経済学的な論理的積み上げとかがあるわけではありません。
が、(だからこそ)そこには必ず普遍的な法則のようなものがあるはずで。
そこを一言で「アカデミアの世界における研究は別もの」とか切って捨てたらそれ以上の進歩はないわけです。
話がそれましたが、個人的には、こういった参与観察的アプローチによる社会学の一般化がもっと進めばいいのになあ・・・なんて思った、最高の一冊でした。阿部さんのような、若くて、感性の鋭い、勢いのある社会学者がもっともっと増えてほしいと思います。
1時間で、バイク便ライダーというピースから社会の一側面が考察ができてしまう、稀有な一冊です。
ぜひ。






































今度は阿部くんでいっぱいやりましょう!
投稿情報: 広告 | 2009.02.26 22:17
ですよね!
ぜひ!!
投稿情報: イケダノリユキ | 2009.02.27 02:24