これはねー。絶対読んだ方が良いと思いますよ。
●マーティン・リンストリーム著「買い物する脳」早川書房
どなたかから(忘れちゃってゴメンナサイ!)教えてもらって買いました。おもしろいです。
著者は本書の中で、「脳を家にたとえると、今までの実験はすべてたったひとつの窓から家をのぞき込むものでしかなかった。しかし、今回の大規模な調査では、窓、壁のひび、床板の隙間、屋根裏の小窓、ねずみの掘った穴など、ありとあらゆる角度から家をのぞきこむことができるのだ。」と、ニューロマーケティングが人間の(ときには本人も気づいていないような)本音を探り当てられるものと紹介しています。
マーティン氏がグローバル企業のスポンサーと、多くの著名な脳神経科学者と共に実施した過去最大級の調査をもとにした本書の中では、下記のような幾つかの刺激的な事実が解明されています。
●タバコの箱の警告文は、むしろ喫煙者の動機や興奮を高めている(国などが進める様々な禁煙推奨メッセージは全てが逆効果になっている!)
●マルボロやフェラーリなどのメガブランドは、ロゴなどの直接的な記号よりも、むしろ「荒野」や「赤色」など間接的イメージの方がより脳を活性化することがわかった
●2010年には米国で7,000~8,000億円規模にまで成長すると言われているプロダクトプレースメントは、本編の物語と密接なつながりの中で展開されるものでない限り、ほとんど意味がない(一方でいわゆるブランデッド・エンタテインメントとかプロダクト・インテグレーションと言われているものなら効果が認められた)
●全広告の20%を占めるセクシー広告は効果がない(一般の広告に比べてブランドの記憶率が悪い)。しかし一方でミラーニューロン効果(レモンを想像しただけで唾液が出るなど、「見る」と「する」が一体化する現象)によって実際の企業活動では大きな効果が出ている(セクシーな広告を見て、女性なら「自分も細身のモデルみたいになれる」、男性なら「自分もCMの男性みたいにたくましくなれる」、などといったイメージを持ち(ミラーニューロン)、商品を購入することにつながっている。
その他にもいろいろと引用したいところが多いんですが、詳細は本書を読んで頂くとして、ここでは僕の琴線に触れた一節を紹介します。
ストレスにさらされると(あるいは、そうでないときでも)、人々は言葉と行動が正反対になる傾向がある。いうまでもなく、市場調査の分野では、これは厄介な問題だ。消費者が実直で正直であることを前提としてるからだ。人間の脳は、85%の時間が自動運転である。わざと嘘をついているわけではない。ただ、意識よりも無意識のほうが、私たちの行動や購入理由を理解する上ではずっと助けになる。
(中略)
それを買った理由を尋ねたら、おそらく肩をすくめて、「直感で」とか、「別に理由はない」とか、「なんとなく」と答えるだろう。しかし、その判断は、実際には今までの人生で築き上げられたイメージ(好意的なイメージや否定的なイメージ)に基づいているのである。意識していないというだけだ。購入の判断をおこなうとき、脳は膨大な量の記憶、事実、感情を掘り起こして分析し、またたく間に反応する。そのショートカットのようなものによって、あらゆる物事をほんの数秒のうちに判断し、買い物カゴに入れる商品を決定するのである。
(中略)
買い物客による購入判断の半分以上は、店頭で瞬時に、しかも無意識におこなわれるという。この脳のショートカットには、れっきとした名前がある。ソマティック・マーカーだ。
(中略)
こういったマーカーはどにょうに作られるのか?そして、企業や広告主は、脳にマーカーを作るための試みをおこなっているのだろうか?
どうです?おもしろそうでしょ?!
残念ながら、このソマティック・マーカーを作るための企業の具体的活動は細かく紹介されてはいませんでしたが、一行だけヒントがありました。それは「(売れている)Aブランドの方が、(売れていない)Bブランドよりも、はるかに多くの概念が思い浮かぶ」という一節です。
個人的には、これが共感する物語とか、コンテクスト(文脈)とか、感動体験なんだと思います。それらが長期記憶としてしっかりと記憶され、店頭やネットで購入される瞬間にしっかり思い出してもらえる場所(生活メモリー)上位に位置し続けることが重要なんじゃないかと推察しています。
うー。この領域、もっともっと研究したいなぁ。
ちなみに、ニューロマーケティングについては、博報堂が業界で一歩抜けて進んでます。すでに博報堂ブレイン・ブリッジ・プログラムとしてリリースも出していて、今回のマーティン・リンストローム氏や、下記「なぜこの店で買ってしまうのか」で有名なパコ・アンダーヒル氏なども迎え、強力なチームを形成し、事業化を進めています。
●パコ・アンダーヒル著「なぜこの店で買ってしまうのか」早川書房
店頭を科学するというテーマについては、日本では学習院大学(故)田島教授&(財)流通経済研究所のISM(インストア・マーチャンダイジング)が有名ですが、パコ氏はそれをさらに一歩進めて、店頭で消費者が商品を手に取り、購入するプロセス(そりゃもうビックリするレベルで:確か「棚の商品に向かってかがんでいる人のお尻に、ほかの買い物客のカゴが当たった場合に商品を見ている人が購入(手に取ること)を止める確率」とか!)を科学しています。
店頭に人を連れてくるプルマーケティング(マス広告など)と、店頭で商品を買ってもらうプッシュマーケティング(棚割りやセールストークなど)がニューロマーケティングとして融合するとき、いままでのマーケティング活動の限界が次々を解明され、さらなる近代化が進むことは間違いありません(倫理的な問題などクリアすべき問題は少なくありませんが)。
これはライフログやユビキタスなど、私たちが望む・望まざるに関わらず、進化していく道なのでしょう。
このテーマ、前に「脳科学的:消費者情報処理モデルβ版」でも一人で盛り上がりましたが、今年の最重点テーマとしてマジモードで追求しようと思います。






































はじめまして!いつも拝見させていただいております♪
早速私も読ませていただきます^^
まさに、今年は「無意識」について考えていこうと、そこからマーケティングを追求しようと思ってました☆
今からAmazon探検します♪♪
投稿情報: 殿塚朝美 | 2009.01.11 19:46
>殿塚さま
コメントありがとうございます。脳科学系の本はこれから逐一書評をアップして行きますので、引き続き宜しくお願いします!
投稿情報: イケダノリユキ | 2009.01.12 00:56