理論社会学の世界では有名な鈴木謙介さんの本を何冊か続けて読んでます。ちょっと難しいところもありますが、好きだなー、こういう視点というか展開というか。
●鈴木謙介&電通消費者研究センター著「わたしたち消費」GS幻冬舎新書
ドッグイヤー(頁の上を三角に折ること)つきまくりですが、中でもビビっときたところを(少し長いですが)引用。
わたしたち消費のさらなる拡大局面を特徴づけているのが、<情動コミュニケーション>です。インターネットも、昨年(2006年)くらいから、ブログやSNS、ユーチューブなどの急激な台頭で、「実利情報の時代から感情情報の時代にシフトした」と言われていますし、映画や本などのコンテンツ消費においても、三年位前から、<泣ける> <笑える> <恋愛気分に浸れる> など、その時どんな気分になりたいかという <感情効用> を消費する傾向がでてきています。店頭でも、店員さんの書いた手書きPOP(書籍なら「泣けます」など)に反応して売れ行きが変わるようになっています。
以前は皆で共有していた「社会全体の共通目標」や「共通ベクトル」がなくなってしまい、方向性が見えなくなっている中で、このように必ずしも理性的でなく、感覚的・感情的なものに人々は動かされるようになっているのです。
この背景には、2004年くらいから、インターネットの急普及とブロードバンド化により情報量が急激に増大し、人々が情報を処理しきれなくなってきたこと(=情報飽和化、情報臨界化)が、大きく影響していると思われます。情報が飽和点に達し、処理しきれなくなると、その反動で情報処理が単純化されると共に、感情的・感覚的な判断や消費も増えてくるのではないでしょうか(情報センサスデータ参照)
<情動コミュニケーション> の注意点として、第一に、コミュニケーションの目的が <情報摂取欲求> から <つながり欲求> へ転化していることが挙げられます。コミュニケーションの目的が、単に <情報を摂取したい> ということから、<他者とつながりたい> という、<つながり欲求>に転化し始め、「部分的・瞬間的でもいいから、感情や情動でつながりたい」、「情を交換したい」という気持ちが強まっています。いわば、「情報社会」から「情動社会」へとシフトしてきている、と言えるのです。
うーん。ためになる。まさにそうだと思います。
ちょうど去年の今頃、「これからの広告に求められること(のひとつ」でも書きましたが、「広告のコンテンツ化」、「Communication+Entertainment=Communitainment」、「共感の共振」、あと、「脳科学的:消費者情報処理モデルβ版」でも書いた「アテンション獲得→短期記憶(興味)→長期記憶(琴線スイッチ)→生活メモリー(フリークエンシーやエンゲージメント)の維持・向上」の流れが必要になったんじゃないかと。
いま、脳科学について何冊か本を併読してるんですが、まさに上記インサイトがマーケットのマジョリティを占め始めている現代マーケティングにおいて、ニューロマーケティング(参考はこちらとこちら)はひとつの解を出していけるのではないかと思う。
それは、全てfMRIで脳スキャンすれば良いってことではなく、マーケティングパラダイムを、そろそろ(本格的に)「理論」「ロジック」「客観」から、「感情」「情動」「主観」に切り替える必要があるんじゃないかと思うんです(両方とも「数値」でマネジメントすることは大前提として)。
脳科学の世界では、「人間の脳は、85%の時間が自動運転(潜在意識での生活)である」と言われています。自分の日常を振り返ってみても(たぶん、みなさんもそうだと思いますが)ほとんどの行動は無意識で行われています(特に仕事以外のことについては特に)。
何となくいろんなことを考えてるし、何となくいろんなことをしているわけです。見ているようで何も見ていないし、驚くほど過去のこと(たとえば2日前の晩御飯とか)を覚えていない(2日前に食べた晩御飯を覚えていないで、昨日見たCMや駅看板を覚えているってロジックはちょっと無理が出てきます)。
今日は今日、明日は明日の成果を、極限まで効率を高めながら足し算的に積み上げていくリスティングやアフィリエイトは、それはそれで良い。ガシガシやるべき。
でも、明後日はどうするか?その活動をやめた瞬間に明後日の成果はゼロだ。なぜなら、全ては超短期的な成果を最大効率で獲得する刈り取り手法であるため、いわゆる「投資」的効果は得られない。
足し算を否定しているのではありません。そこに、プラス掛け算が必要なんじゃないか、という問題意識なのです。じゃないと、自動運転している脳に、アプローチすることはできないわけで。これ、つまり購入してもらったお客さん一番多い(ほとんどの)理由(本音)、「なんとなく」をつくる活動です。
話がやや(というか相当)脱線しましたが、これからは「感情」や「情動」が鍵になると思います。景気が悪くなる中でネットでは「CPA(効率)重視」が花盛りだけど、シュリンクしているマス広告の代替をネットができるようにならないと、今後の成長はないと思う。今日と明日(短期と短・中期)、効率と効果、足し算と掛け算。2009年は、インタラクティブ・プロモーションの真価(進化)が問われる一年になりそうだ。
最後に、鈴木謙介氏のもう一冊を紹介。こちらも(こっちの方が?)有名。
●鈴木謙介著「カーニヴァル化する社会」講談社現代新書
どんな内容かと言うと・・・
日常生活の中に突如として訪れる、歴史も本質的な理由も欠いた、ある種、度を過ぎた祝祭について、それはいったい何なのか、なぜ今になってそうした祭りが頻発するのか、といった問題を、様々な角度から論じたのが本書である。――本書より
どっちもオススメです。やっぱ社会学はおもしろい。







































数ヶ月前ですが、知り合いと一緒に謙介君とのみましたよ。池田さんも機会があったら、ぜひご一緒ください!お声がけしますよー!
投稿情報: 広告わっつあっぷ | 2009.01.10 01:54
>わっつあっぷさん
まぢすか!鈴木さんと焼肉食べながらこれからの社会とか語りたいですー。ちょっと強制的に機会つくってください!宜しくお願いします!!
投稿情報: イケダノリユキ | 2009.01.10 21:57