朝日新聞に興味深い記事がありました。
インフルエンザ、ネット検索増えれば流行の兆し-米研究(asahi.com)
研究結果によると、ウイルス検査で陽性反応が出始める1~3週間前、死者が増え始める5週間前ごろに、検索件数が急増していたそうな。で、ヤフーとCDC(米疾病対策センター)の研究によると、統計を取る検索語をうまく選ぶと、CDCが毎週発表している患者発生状況を1~2週間前に予測できるとしている。Googleも、米国内での状況を示すウェブサイトを開設したそうです。
ついに、ウェブ上のカキコミが世相や世論の近未来予想ツールになってきました。
今まで世の中の人々の興味関心ごと(マスであれトライブであれ)は、特別な社会調査やリサーチをかけないことには計ることはできませんでした。それもリアルタイムでなんてとても無理。莫大なコストかかるし、実査やって集計分析している時点で過去の状況把握になってしまうため、近未来予想の前に現状把握すら困難でした。
それが、世の人々の興味関心ごとを「検索数」で計ることで、リアルタイムでその予兆を把握することができるようになったわけです。
これは、kizasi.jpのようなサービスで今までもすでにあったものですが、どちらかと言うと、これからの近未来予測ツールと言うよりも、いま(もしくは過去)にどういったトレンドが発生している(た)のかを見るものとして使われているケースが多いんじゃないでしょうか。
トライバルメディアハウスでは、以前からずっとクチコミシェアとマーケットシェアの関係を研究していて、結構多くの業界でトップ3についてはそれらの相関関係が見られたりします(クチコミシェアとは、単純にネットでトラッキングできる全てのカキコミの総量を100として、特定企業や特定ブランドのカキコミを分子として除したもの)。
もちろん、クチコミシェアの算定方法はちゃんとやろうとしたら相当綿密にやらなきゃいけないので、あくまで参考程度の指標にはなりますが、言ったら競合他社ブランドも同じ条件で算定するため、一定の参考指標にはなると思います。
あと、クチコミシェアが高いからマーケットシェアが高いのか、マーケットシェアが高いからクチコミシェアが高いのか、という問題。どっちが主で、どっちが従なのか。これは正直どちらの関係もあると思います。
ただ言えるのは、クチコミシェアが高い商品は、ポジネガ反応に関わらず、総じて一定のマーケットシェアを取っている傾向がある、というものです(幾つかのデータは見てますが細かい検証はしてません。念のため)。
「話題になっている」とは「話の題材として取り上げられている」と同義ですから、要は世の中でどれくらいアテンションを取っているかという指標です。その1%くらいが、ネット上のカキコミとして顕在化する。
この世の全てがネット上のカキコミから予測できる、なんて神のようなことを言うつもりはありませんが、こういった観点から自社のマーケティング・インフォメーション・システム(メソッドでも良い)をつくって行くことって、絶対に有用だと思う。
自社のブランド(及びその周辺)において、どんな予兆が出てきたらどういう手を打つのか。ローリングでありコンティンジェンシーなわけですが、これは業界や業界ポジション、商品特性やターゲットによって大きくことなりますから、世相をざっくり見るyahoo!の検索ワードランキングなどではあまり役に立ちません。
「アテンションシェア」という考え方、や、牛野屋の吉丼でも書きましたが、超成熟化社会におけるマーケティング競争力は(商品力が競合他社と拮抗しているという前提で)、いかに短期記憶(ブランド選択時:購入時の選択肢ランキング)の上位に位置し続けるかに尽きると思います。これは、今日のクリックを獲得するリスティングやアフィリエイトをガリガリ回す際も同じこと。
何でこれ買ったんですか?
「う~ん。何となく。」
何でこれクリックしたの?
「う~ん。何となく。」
リサーチの調査票には、「何となく」って選択肢はないですから、当然グラフには出てきませんし、聞いたところであれこれ理由をつけるもの。でも、そんなこと売り場やPCの前で考えてない。スーパーは店内意思決定率が約80%と言われてますが(レジでかごに入っている商品の8割は店内で(無意識に)決定したもの)で商品のブランドを棚の前で選定する時間は3~5秒と言われている。クリックなんて、たぶん1~2秒あったらいい方。全て瞬間。
どんどんテーマからかけ離れたところへ話が向かってますが、言いたいのは、実はいま必要な観点って、大昔から一昔前に業界で流行った概念であるブランドマーケティングとかCRMとかマインドシェアとかなんじゃないか、ということ。それに、最近の流行であるクチコミとかトラッキングエンジンとかエンゲージメントとかを重ね合わせて、短期(月及びクオーターベース)、中期的(1~2年程度)、長期的(2年~)な目標(&KPI)を再設定する必要があるんじゃないか、ってこと。
この市況で、広告主様は短期的な刈り取り施策に予算を集中する傾向が出ているわけですが、今季の刈り取りはできても、来季の種を植えていない。同業界内の熾烈なリスティング&アフィリエイト戦争の向こう側に、お花畑はありません。でも、来季の種をまくにも、テレビや新聞の広告予算は大幅カット。Webで展開するにも、効果測定の指標がない(いままでテレビも新聞も効果測定してこなかったのに、、、まぁその反省も含んでいるのでしょう)。
目下の課題は、テレビや新聞に変わる「明日のクリック」、「明日の検索」を創るための活動をWebで展開したときの効果測定指標(KPI)だと思います。CPAだけ追っかけてこれを同時にやろうとしても、できるわけはない。テレビCMのCPAを取ってきた企業がほとんど存在していないのと同じわけですが、そんなトークじゃ当然納得できるわけはない。おぼろげながらに見えてきているので、クライアント様と協力しながらこの指標を早期に創り上げたいと思います(無論、業界によって指標は違うでしょうが)。
思いっきり散漫エントリになってしまいましたが、まぁブログってことでお許しを。






































> ウェブ上のカキコミが世相や世論の近未来予想ツールになってきました。
カキコミ、クチコミという行動と、
検索行動=intention との混同が見られる。
投稿情報: タカヒロノリヒコ | 2008.12.12 13:57
>タカヒロさん
う~ん。確かに。もっと頭の中を整理しないとダメですね。。
投稿情報: イケダノリユキ | 2008.12.12 14:03
面白いエントリーだと思いました。
今度機会がありましたら、クチコミ関連研究の情報の相互シェアをさせてください♪
弊社では同じクチコミの総量でも、内容や発信者特性が違えば、その影響は異なるのでは?という視点での研究を進めています。
投稿情報: Life2.0 | 2008.12.16 16:17
>Life2.0さん
ご無沙汰してますー。内容や発信者が違えばその影響が違うという仮説、その通りだと思いますよ。
我々はどちらかと言うとそれらをぜんぶひっくるめて世の中のヒットの種を戦略的に見つける(もしくは創る)ことが仕掛けられないかなぁ・・・と模索中です。
いずれにせよ、情報共有、こちらこそお願いします!
投稿情報: イケダノリユキ | 2008.12.16 16:46