日本でなかなか普及しない「アカウントプランナー」という職種。いつまで経っても「営業でしょ?」というイメージが強い。
そうじゃないんだよー。とか思い、うちも以前は「アカウントプランナー募集」とか言ってましたが、そうすると、これはこれで想定している人がこない。オラオラ系の営業職がたくさんくる(いや別にオラオラ系の営業職がだめって言うわけじゃなく)。
アカウントプランナーの概念は様々ありますが、個人的には、顧客対応もするコミュニケーションデザイナーだと思っています。クライアントのビジネス(事業)もわかり、マーケティングもわかり、企画も考えられ、ときにコピーやコンテを書くこともあるだろうし、クリエイティブディレクションも、メディアの知識も、アドテクノロジーも、効果測定も、とにかく一切合財全部把握できてなきゃいけない。
スーパーマンなのか、何でも屋なのか、その両方なのかわかりませんが、とにかくクライアントの「ちょっと相談なんだけどさ」に、全部対応できなきゃいけない。全て自分ひとりで解決できるわけないけど、自分ひとりでは何ができないのかを知っていて、その穴を埋める解決策(人のアサイン含め)が描けなきゃいけない。
で、冒頭から題目から大きくずれずれですが、そんなことを帰りの電車内で「広告営業力」を読んでいて感じたわけです(この本は、確か以前、「日々精進」で有名な心ごころさんのブログで買った気が)。
この本の中で、ライトパブリシティの栗本知樹さんの項があるんですが、こういう一節があります。
僕は、アートディレクターが作業している時、背後でモニターを凝視しています。アートディレクターからすれば、とてもうっとうしいプロデューサーです。どの書体で迷ったのか。なぜその色にしたのか。どういう考えで、そのレイアウトに至ったのか。どんなことをデザインしようとしているのか。その過程を理解しようとします。僕ら営業・プロデューサーは本来、それを理解するべきだとも思っています。理由はいくつかありますが、もっとも重要なのは、クライアントとのクリエイティブに関する交渉や意思疎通の精度が格段に違います。最終カンプの後ろにある、何十枚もの没カンプを見ているわけですから。アートディレクターが何を嫌ってそのデザインになったかを知っていることは、了解してはいけないデザインを知っているということです。
そうなんす。まさにその通り。
以前、イケダは企画・デザイン事務所の役員をやっていたことがありました。役員と言っても、小さな事務所ですから、それこそ何でもやります。
主に、商品開発(商品コンセプトづくり、企画全般、ネーミング、ロゴ、パッケージデザイン)や、グラフィック、Web開発などをやっていたわけですが、もともとコンサルでしたし、デザインの営業やプロデュースはほぼ素人に近い状態。
デザイナーが徹夜して作った制作物を翌日クライアントのところへ持って行って、「ここのオレンジさ、緑にしてもらえる?」とか言われ、「そう言われると緑もありっすかね」とか言って、右から左、ガキの遣い以下の状態でホイホイ帰る。
で、当然、デザイナーから「ここのオレンジを緑に変えるなら、そもそもこの企画(デザイン)そのものがなし!全部最初からやり直しだよ!」と怒鳴られる。で、クライアントとデザイナーの間でキュウキュウ涙目になっていたところ、カリスマ社長(イケダのお師匠さんのひとり)から、「お前、もう何もせんでえぇから、デザイナーの後ろで朝までずっと画面見てろ」と言われたんです。
で、見ましたよ。それこそ、ずっと。マックの画面とかほとんど見たことない人間が、ずーっと見てた。そしたら、わかるんですね。デザイナーの迷いや、想いが。その過程を、ただ見てるだけですが、共有することで、俄然、クライアントへの説明の仕方が変わった。もう説得力とか、段違いです。まさに、上記で栗本さんが仰ってる通り。
これは、概してクライアントとクリエーターの間に挟まれる(ことが多い)営業やプロデューサー、ここで言うアカウントプランナーは、絶対やっとかなきゃいけないプロセスなんじゃないかと思うんです。
そして、クリエイティブだけじゃなく、分析も、アイデア出しも、メディアプラン設計も、効果測定も、自分でやれなくても、(擬似)体験して、そのフィールドの専門家と同じ想いを共有できなきゃいけない。
クライアントへ最良の提案をし、しっかりと理解・納得してもらうためには、まずはその司令塔になるアカウントプランナーが自分側のチームビルディングができてなきゃいけないわけですからね。各領域の専門家も、そういったそれぞれの分野をしっかり理解・経験した人間だったら、安心して任せますし。お、こいつは話がわかる奴だな、と。
そういう意味では、アカウントプランナーってやつは、本当にやらなきゃいけないこと(できなきゃならないこと)が多いわけです。各領域、ものすごいスピードで変化(進化)をしているので、経験したものも、したうちから陳腐化が始まるこのご時勢。だからこそ、そういう人間は市場価値が高いし、何より仕事が楽しいわけです。なくてはならない存在として。
とまあ偉そうなことをつらつらと書きましたが、いや、決して私が全部できるとは思っていませんよ。まだまだ勉強中の身です。まあ一生勉強なんですけどね。イケダノリユキβ版(一生)ってやつです。
最後に、クリエイティブとは違いますが、「広告営業力」の中に登場する12人の方々に共通する要素をまとめてみました(完全に独断と偏見で)。
●とにかく努力家(勉強家)
●現場大好き
●人間大好き
●仕事大好き
●(たぶん)自分大好き
●プロとしてのプライドと誇り
●柔軟(変化を楽しむ)
●誠実(対クライアント、対仕事、対自分)
●アンチ(なんでもかんでも)デジタル
●自分の流儀を有する
●自分ひとりで何ができないかを知っている
●なので優秀なチームを有する(社内外問わず)
●(一見クールっぽいけど)基本、熱い(情熱)
ビジネス的な観点から見れば、やれ労働集約的とか、不景気でまっさきに削られるのは広告費だとか言われちゃう業界ですが、この地球上に人間がいる限り、コミュニケーション業は絶対になくらならない。
この業界はステキな人が多い。
古川君(の元上司)が言う通り、人生の中に仕事があるんじゃなく、仕事の中に人生があるのかもしれない。



























アカウントプランナー=コミュニケーションデザイナーっていうよりも、コミュニケーションデザイナーにはアカウントプランナー的素養が求められるっていうほうが正しいかな。
アカウントプランナーは、コンシューマインサイトを発見し(=アカウントプランナーは広告主ではなく消費者の代弁者、と言われるのはそれゆえ)、それを元にクリエイティブブリーフを書き、クリエイティブスタッフに渡すのが仕事なので、必ずしも。コミュニケーションプランの企画と実施そのものに関わるわけではない。
いっぽうコミュニケーションデザイナーはより、企画そのものによっている。ただ、アカウントプランナーのようにコンシューマインサイトがわかってないといいシナリオをかけないので、その素養を持っていなくちゃいけない、と言うことだと思うよ。
投稿情報: タカヒロノリヒコ | 2008.10.09 06:30
アニキは以前から(日本で最も早くから?)アカウントプランナー論を提唱してますからね。仰る通りだと思います。たぶん企業規模にも関係していて、ある程度機能分化された中~大規模な組織だと、タカヒロさんの言うようなアカウントプランナー像が理想なんでしょうね。ここで書いたのは、小規模会社(組織)、まぁ平たく言えば今のうちの会社で求めるアカウントプランナー像なのかもしれません。何でもやれ、と(笑)。早く組織を拡張させたいもんです。
投稿情報: イケダノリユキ | 2008.10.09 11:11
イケダさん、紹介いただいて光栄です!
また、タカヒロ師匠とのコメント上でのやりとりも
勉強になります。
僕は、アカウントプランナーって確かに営業だと
思ってます。
だけど取扱してるものがモノじゃなくて
コミュニケーションプラン。
だったら、メディアも知らないといけないし、
クリエイティブも知らないといけない。
で、コミュニケーションプランを考える上では、
インサイトがないと成り立たない。
そんなイメージです!
これからも宜しくお願いします。
投稿情報: チカタノリマサ(心ごころ) | 2008.10.10 12:40
>心ごころさん
コメントありがとうございます。心ごころさんは大勢のアカウントプランナーを引っ張るリーダーですからね。そりゃもう大変だと思います。共に業界を盛り上げて行きましょー!
投稿情報: イケダノリユキ | 2008.10.10 14:29