個人的に最近注目している「感動スイッチ」について、もうちょっと掘り下げてみます。
いつの時代も人が涙してしまうスイッチは普遍だと思います。その時代背景などによって若干シーンが変わりますが、私たちは概ね下記のような状況設定に弱い気がします。
●大切な人(夫、妻、子ども、親、友人など)の死や離別
●大切な人(〃)への(からの)無償の愛
特にこの2点において、想いが実現できない(自分の力ではどうしようもない不可抗力的な)障害と、乗り越える過程、そしてそれらの想いが凝縮された結末、という設定が感情移入を起こさせ、感動したり、泣いたりする。
ここでは何だか分析めいたこと言ってますが、基本、涙もろい方なんで、いち視聴者や読者としてこういったストーリーを観たり読んだり すると、結構すぐ泣いてしまう。
昨日のCGMマーケティングの本質でも書きましたが、これからのコミュニケーションの課題は、「いかにして広告メッセージを伝えるか」から、「いかに共感を獲得するか」がポイントになると思います。
スペックやフィジカルベネフィットの差別性が希薄化する中、商品やサービスの仕様や、それによって得られる物理的な便益はほとんど差が無くなっています。そんな中で、「ウチの商品(サービス)は、他社と比べてここが違う!」といくら大声で叫んでも届かない。自分の興味関心ごとだけでプロテクトされている私たちの頭の中に何かしらの情報をインストールしたいのなら、「頭」ではなく「心」に、「商品情報」ではなく「共感」を伝えなければならないんじゃないかと思うんです。
全ての商品やサービスで展開できるわけじゃないにせよ、この「感動スイッチ」は非常に大きな力を持つと思います。人の感情の中で「感動」というのは、「おもしろい」とか「すごい」とか「エロい」とか「ブラボー!」とか「何だ?」とかよりも大きく心を揺さぶらないと得られない。つまり、「感情移入」をしてもらわない限り、人には感動してもらえない。
感情移入をしてもらえるくらい感情を揺さぶるということは、ジブンゴト化がされている証拠だし、(心の)ドアは完全にオープンになっているので、企業や商品やサービスが伝えたいブランドメッセージ(世界観含め)もスムーズにコミュニケーションできるはず。
ただし、ここ数年で一気に目が肥えた私たち生活者は、「感動させてやろう」とか「泣かせてやろう」という企業側や送り手側の目論見や企てをつぶさに見抜きます。なので、諸刃の剣というか、薄っぺらくやってしまうと、たぶん良くない。
「おもしろさ」や「インパクト」の場合は、観たり読んでたいしたことがなければ「ふ~ん」で終わりますが、「感動スイッチ」の場合に失敗すると、「せこい」とか「いやらしい」なんて言われかねないので注意が必要(まぁ、琴線に触れないってことは無視(スルー)される確率が高いですが)。
とはいえ、この人の感情を大きく揺さぶる感動スイッチ。注目テーマとして追っかけていきたい。
いくつか事例を見てみましょう。
この前、東急池上線の「まど上」広告で目に入った葬儀屋さん「くらしの友」。「つたえたい、心の手紙」募集、というキャンペーンをやっていて、そのサンプルが掲出されていました。
ホームページに行ったら、別バージョンも。
泣けます。わかっちゃいるけど、涙腺がうるっとします。
よく、ドメイン論の話のときに、化粧品メーカーさんが「うちは化粧品(モノ)を売っているんじゃない、女性の美しくなりたい(なれる)というコト(もっと言うと美しくなってどうなりたいとか、どうありたいとか)を売っているんだ」という話があります。くらしの友も、単に葬儀サービスを提供するんじゃなくて、大切な人、愛する人とのたくさんの思い出や、「ありがとう」という感謝の気持ち、死後の世界でまた会いたい(一緒にいたい)という、これで終わりではない、むしろ「これからもよろしく」といった故人を心から愛し、偲ぶ感情もひっくるめたセレモニー(コト)を提供したいという企業姿勢が伝わってきます。
若干、東京ガスのこちらと設定がかぶりますが(余談)。この東京ガスのCMも、日常生活の中でほとんど意識されない「ガス」という無形財を「心あたたまる、人と人、心と心をつなげるもの」として伝えています。
●東京ガス:家族の絆・山菜の味篇
あと、YouTubeは、オモシロ映像やインパクト系ばかりと思われがちですが、実は感動系コンテンツの視聴数も多い。代表的なものをいくつか紹介します。
●ANA/読売新聞/PLUTINUMのコラボCM(やや長編)
恋とか、愛とかの少し先。ってコピーが実にいいですね。
●天国からの手紙
後半のCM部分で「うおっ」となりますが、OKでしょう。
●大切なあなたへ
なぜこのスポンサーが・・・という謎が残ります。
●神様への手紙
純粋に泣けます。
●タイトル不明・・・(海外CM)
切ないです。
●ジョニーウォーカー黒ラベル
ちょっと違いますが、このCMもジーンときます(この映像を見つけたときの感動はこちら)
如何でしたか。職場で読んでいる方はなかなか全部見ることができないかもしれませんので、自宅でゆっくりと見てください。あ、ハンカチを忘れずに。
あと、以前も同じようなエントリを書いていたので、「これからの広告に求められること(のひとつ)」も合わせてどうぞ。





























はじめまして。
(ではなく以前名刺交換させていただいてますが・笑)
私は何十回見てもどうしても涙してしまうCMがあります。
ぜひこちらもご鑑賞ください。
http://jp.youtube.com/watch?v=eclE0-Cwp2g
CMに登場されている方は本人なのでとても心に響きます。背景はこちら。
http://www2.nissan.co.jp/EVENT/24HTV07/subinfo.html
投稿情報: ひっと | 2008.10.23 02:46
ひっとさん。
コメントありがとうございます(すいません、すぐにどなたか想像がつきませんが・・・)
情報ありがとうございます。
YouTubeのCMも良いですが、NISSANのHPにある制作の背景にやられましたー。
やっぱり「感動スイッチ」のパワーは強いですねぇ。
投稿情報: イケダノリユキ | 2008.10.23 10:52